表紙アートワーク REFLECTA, Inc.
表紙写真 System of Culture

2026-5月号 MAY

特集= 05 サブサハラ・アフリカ都市の自治


05 Governance of Urban Settlements in Sub-Sahara Africa

 

特集05 サブサハラ・アフリカ都市の自治

世界でもっとも急速に都市化が進んでいる地域が、サブサハラ・アフリカ(サハラ以南)である。キンサシャやラゴスといったメガシティが出現し、2050年には世界人口の約4分の1を占める巨大な人口圏を形成すると予測されている。こうした急激な都市化のもとで、高速道路の建設、住宅の大量供給、スラム改善事業などの都市基盤整備が進められると同時に、気候変動や防災、脱炭素といった最新の国際的課題への対応も実装されようとしている。
この地域は、奴隷制度や植民地支配、開発といった西洋からの強い力に晒されながら変容してきた歴史をもつ。特にインフラや都市、建築といった空間の計画や管理は、制度と生活のあいだに生じる衝突が顕在化する領域でもある。そうしたなかで生まれたのが「インフォーマル」と呼ばれるサブサハラ・アフリカに見られる巨大な領域である。それを単に制度から逸脱したものとして捉えてはいけない。人類学者の松田素二は「抵抗」や「飼いならす」といった概念を提示することで、近代制度に対峙する生活者による生活実践としてこれらを捉え直し、人類学分野におけるアフリカ都市への眼差しに大きな転換をもたらした。
本特集では、サブサハラ・アフリカ都市において、制度(フォーマル)と生活(インフォーマル)が拮抗し、折り重なる現場に立ち上がる「自治」に注目する。「自治」はしばしば(Self-)Governanceと訳され、上からの統治や管理の枠組みのなかで理解されてきた。しかしここでは、生活実践から立ち上がる都市の運営や秩序のあり方から自治を捉え直したい。空間の自治は、地域社会における自治のあり方とも密接に関係している。サブサハラ・アフリカの都市を通して自治を考えることは、同じく非西洋世界に位置しながら、近代制度に強く依拠してきた日本の都市における公共性や担い手のあり方を問い直す契機ともなるだろう。

[目次]

00巻頭連載
アフリカ大陸の分布

02

特集 サブサハラ・アフリカ都市の自治

04座談会1
編集会議座談
─アフリカ都市と関わるなかでのRealities
井本佐保里、庄ゆた夏、三木はる香、伊藤維
10インタビュー1
不定形な自治がつくる都市
─アフリカから世界をみる
松田素二
16座談会2
都市の「インフォーマリティ」とどう向き合うか
―コミュニティと制度をつなぐ都市実践
渡辺真樹子、セリーヌ・デクルーズ
20インタビュー2
住宅から都市を編み直す
─包摂としぶとさをめぐる思考
ファトゥ・ディエエ
24論考1
ケープタウンにおけるポスト・アパルトヘイト都市の萌芽
イアン・ロウ
26論考2
都市周辺地域の土地問題
佐川徹
28論考3
インフォーマル市街地の土地は、どのようにして「誰かの土地」になるのか
小野悠
30論考4
都市交通支援の視座
花岡伸也
32論考5
ケニアが誇る庶民の足マタトゥ
永松真紀
34論考6
「適切な住居への権利」とセルフビルド
アディティア・クマール
36論考7
CADと搾乳─カンパラでの実践から
小林一行

ノードとしての建築展:05
38創宇社建築会の建築展(1923-1930)声をあげ、つながる場
佐藤美弥

復興のリアリティーズ:05
40被災者の復興まちづくり
清水勝子

ものづくりの過去と現代:05
42櫓とハイチェア
樫村芙実