表紙アートワーク 渡邉翔
2025-2月号 FEBRUARY
特集02 メイキングフッド―世界を工作すること
近年、建築家が積極的に自ら、または他者と共につくることに関与し、その行為や出来事を介してプロジェクトを完成させるような事例が国内外に増えてきており、メディアでもその活動が目立ってきている印象がある。その背景には、職人の不足や建設費の高騰といった避けがたい動機も強く影響していると想像できる。一方で、つくることが難しい時代でも制度や事態を身軽に越境していくような新たな態度も同時に生まれつつある。〈メイキングフッド/Makinghood〉とは、つくること「making」と、状態、性質、集団などを意味する接尾語の「-hood」をつなげた造語である。それは、建築をつくっていくための環境や概念、その生態系のようなものをイメージしている。成熟した社会において、この領域を押し広げていくことが、この先のつくる行為のあり方を考えていくことにもなるのではないか。ここで問う「つくる」こととは一概に、人間が制作する物理的な人工物を生み出す行為のみを指しているのではなく、そこに生まれる場や空間、さらに大きくは私たちが暮らす世界そのものを問い直す主体的で政治的な営為とも捉えたい。
[目次] |
0 | 巻頭連載 建築アーカイブの現在⑭ 金沢工業大学建築アーカイヴス研究所 |
2 | 特集 メイキングフッド―世界を工作すること |
4 | 論考1 つくることのメンテナンス 川勝真一 |
6 | 座談会1 「仮置き」「手入れ」「掃除」 から考える建築家の問い 石村大輔、井上岳、山本周 |
12 | 論考2 〈メイキングフッド〉の美学 ─日常美学における世界制作の概念から 青田麻未 |
14 | インタビュー1 オーナーシップを持たない プロジェクトの可能性について ティル・ホフマン、マリア・ゴットヴァイス、 クリスティーネ・ドアナー |
20 | 論考3 ヨーロッパと日本、 その間に生まれる新しい建築の実践 篠原祐馬 |
22 | インタビュー2 練習を実践と重ねること セバスチャン・ルノー、メラニー・エレスバク |
28 | 論考4 脱学校の学校へ 谷繁玲央 |
30 | ハイツ干隈 ハイツ飯倉 ─テラスハウスは復権するか? 川尻大介、岸佑、田上健一、朴光賢、堀田典裕 |
32 | 建具を通した別の歴史 藤田雄介 |