表紙アートワーク 渡邉翔
2025-11月号 NOVEMBER
特集11 デジタルが拓く建築のかたち―コンピュテーショナルデザインの現在地と可能性
近代建築は、美学的には抽象的でシンプルな幾何学形態の構成を基盤とし、工学的には鉄骨や鉄筋コンクリートによる合理的な建設構法を基盤として、人間中心主義と構築技術の間で揺れ動きながら、急速に拡大する近現代社会を構築してきた。現代にいたるまで、多様なデザインが生み出されてきたが、建築のかたちを支えるパラダイムは大きくは変化してはいない。
だが、コンピュテーショナルデザインなどのデジタルツールが一般化しつつある今、そこに新たな可能性が拓かれようとしている。それはこれらのツールが、単にこれまで描けなかった多様なかたちを作り出せるツールであるだけでなく、従来の建築の構法や職能にも踏み込むツールであり、建築のかたちの秩序と建築の美学をも問い直しうるツールであるからである。
本特集では様々な専門家の対談と論考を通じ、デジタル技術と建築のかたちの歩みをたどり、その現在地とこれからの可能性を多角的に問うていく。多様な聞きなれない言葉があふれ、部外者にはいささか難解なこの分野の本質を解き明かし、コンピュテーショナルデザインが建築のかたちに何をもたらし、我々にどんな価値をもたらすのかを紐解いていきたい。
| [目次] |
| 0 | 巻頭連載 建築アーカイブの現在㉓ 京都工芸繊維大学美術工芸資料館 |
| 2 | 特集 デジタルが拓く建築のかたち |
| 4 | 概論 コンピュテーショナルデザインの歩みを振り返る 杉原聡 |
| 8 | 座談会1 コンピュテーショナルなデザインと建築のかたち 石原隆裕、壁谷健一、鶴巻崇、早野洋介 |
| 14 | 座談会2 フォームファインディングと デジタルファブリケーション 後藤一真、浜田英明、林盛 |
| 18 | 座談会3/万博を視る5 デジタルが拓いた膜構造の可能性 天野裕、喜多村淳、平郡竜志、斎藤公男 |
| 22 | 論考 構築史としてのサグラダ・ファミリア教会 山村健 |
| 24 | 座談会4 デジタルは建築の『かたち』を どう変えていくのか? 平田晃久、平野利樹、小阪淳 |
| 30 | タウン上八事 川尻大介、岸佑、田上健一、朴光賢、堀田典裕 |
| 32 | 此岸と彼岸を繋ぐ「窓」の 六角美瑠 |