表紙アートワーク 渡邉翔
2025-12月号 DECEMBER
特集12 REgionalism in 仙台
都市や建築が持続的に発展するためには、既存の物理的環境と文化的環境について、「再=RE」を付けて考える必要があろう。
具体的な場所に対して、再読、再編、再考、再生、再興、再建などの「再=RE」を付けて考えられた内容は、その場所の背景に応じて多様で固有の手法を持つ*。今期建築雑誌編集委員会では、福岡・名古屋・仙台を取り上げて、'REgionalism' を冠する3 冊の特集号を準備してきたが、本特集"Regionalism in 仙台" は、2024 年8月号と2025 年4月号に続く第3 弾である。本特集では、東北地方で唯一の政令指定都市であり、「杜の都」と呼ばれて来た仙台を取り上げ、都市と農村の関係において醸成された建築文化について考え直してみたいと思う。
"region" の語源は、ラテン語の「方向」や「境界」を意味する"regio" であり、印欧祖語の"reg-" という語根に由来する。"region" という単語を、大文字の"RE" と小文字の"gion" とすることは語源からすれば間違いであるが、本特集では「地方」について"再=RE"を付けて考えるために、敢えてこのように分節する。
| [目次] |
| 0 | 巻頭連載 建築アーカイブの現在㉔ 仙台政府倉庫 |
| 2 | 特集 REgionalism in 仙台 |
| 4 | 座談会 不動の東北拠点・500 年にむけて内発的創造性を 菅野正道、増田聡、横山英子 |
| 8 | インタビュー 研究人生から見た「学都仙台」 近江隆 |
| 14 | 論考1 持続可能なフードシステムのための生業づくり、 仙台を事例として 三浦隆弘 |
| 16 | 論考2 支店都市・仙台における人の流動性と地域社会 ―転勤者に着目して 宮本愛 |
| 18 | 論考3 工業都市「大仙台」の建設と都市計画 齋藤駿介 |
| 20 | 論考4 拠点としての仙台、通過点としての仙台 小地沢将之 |
| 22 | 論考5 「杜の都」の都市デザインの作用 〈緑の手〉と〈せんだいセントラルパーク〉 佐藤芳治 |
| 24 | 論考6 まちの記憶と建物保存 ―宮城県美術館の現地存続運動を通して 西大立目祥子 |
| 26 | 論考7 当世性、その先の[仙台の建築]は可能か 大沼正寛 |
| 28 | "REgionalism"特集 総括座談会 鄙の都と都の鄙:福岡・名古屋・仙台の "REgionalism"特集から学ぶこと 大沼正寛、黒瀨武史、田上健一、佃悠、 朴光賢、堀田典裕、川尻大介 |
| 34 | 万博を視る6 万博と都市・大阪 嘉名光市 |
| 36 | レジデンシャルホテルムーンビーチ (現・ザ・ムーンビーチ ミュージアムリゾート) 喜納進、嘉手納傑務、中島聖二郎、根路銘安史 |
| 38 | 記録と物語 川口涼子 |