2016-9月号 SEPTEMBER
特集 建築業における国際化の論点整理
本号では、「建築業の国際化の論点整理」と題して、建築分野のさまざまな場面で議論されている国際化について、現状整理を試みる記事をまとめました。
このテーマは、多くの建築系メディアによってこれまでに何度も取り上げられた、手垢のついたテーマであります。しかし、実際に企業がグローバル化する際に、まだまだ不安や課題を感じる向きも多いのではないでしょうか。ここでは、建築業にかかわる企業がグローバル化するとはどういうことなのか、どのようなメリットとデメリットがあるのか、成功と失敗の分水嶺にどのようなメカニズムが隠されているのか、といった他分野の日本企業の国際化や外国の建築系企業の国際化に関する経済学的・企業分析的報告を総論とし、そこから事例報告をまとめることで、骨太な内容を目指しました。
オリンピック後の建築業界の先行き不透明さなどとあいまって、建築業のグローバル化は必要とされながらもふんわりと議論されています。わが国の企業がこれまで経験してきたグローバル化のなかでも、特に多くの人の関心を集めているのにもかかわらず、調べ方、戦略の立て方が必ずしも明確ではありません。本特集の、経済学的な調査や分析アプローチに基づく報告と各社最新事例によって、読者の建築業の国際化に関する論点整理に少しでも役立てば幸いです。
(北垣亮馬)
会誌編集委員会特集担当
大岡龍三(東京大学)、今井康博(大林組)、大森晃彦(建築メディア研究所)、北垣亮馬(東京大学)、中島伸(東京大学)、藤田香織(東京大学)
[目次]
004 | 会誌編集委員 主旨 |
005 | 小山大介 総論:日本企業のグローバル化を取り巻く状況 日系多国籍企業および建設業における海外進出と撤退の現状 |
008 | 五十嵐健 海外大手建設会社の事業展開から考える日本企業の課題 |
010 | 石井克典 国内空調メーカーのグローバル事業拡大戦略 |
012 | 西村信國 建築塗料の国際化 |
014 | 中島公俊 建築施工の国際化について |
016 | 加藤匠 英国不動産開発を取り巻く事業環境と開発事例 |
018 | 礒﨑あゆみ 異文化のなかで構造設計するということ |
020 | 山村真司 環境系プロジェクトの国際化 |
表紙裏 | 上村克郎 50年間の研究活動は適当だったか? |
002 | 佐藤佳子 内田祥三関係資料より震災移転図 (東京市復興事業局、1927年ごろ) |
022 | 芦葉宗近 国際文化会館 |
023 | 岡部明子 ⑰東京大学新領域・社会文化環境学建築デザイン系研究室 古民家とスラム? |
023 | ホム・バハドゥル・リジャル ⑱東京都市大学環境創生学科リジャル研究室 熱的快適性の「適応モデル」を目指して |
024 | 高橋恒夫 陸前高田市今泉地区復興まちづくりの核:大肝入吉田家住宅の復元 |
026 | 西村浩 建築で国家を変えることが可能ですか |
028 | 会誌編集委員 |