2016-11月号 NOVEMBER

特集= 建築系ビッグデータの実装・運用における課題整理


Points of “Big Data” for Implementing and Managing in Building Fields

 

特集 建築系ビッグデータの実装・運用における課題整理

 11月号では、「建築系ビッグデータの実装・運用における課題整理」と題し、建築分野のさまざまな場面で議論され、また、導入が進んでいるビッグデータの運用に関して、現状の課題を整理する特集としました。

 このテーマは、多くの建築系メディアによってこれまでに何度も取り上げられた、手垢のついたテーマであります。しかし、ビッグデータや情報化技術は、今や欠かせないものになっている一方で、その利用の裏に隠された課題も少しずつ見え始めたころではないかと思います。企業が大きなデータをさまざまな業務にわたって横断的に利用することで、業務の新しい形が生まれている一方で、まだまだ運用において不安や課題を感じる向きも多いのではないでしょうか。

 本号は、建築業にかかわるビッグデータや情報化技術が、企業にもたらしている影響について、どのようなメリットとデメリットがあるのか、成功と失敗の分水嶺にどのようなメカニズムが隠されているのか、といったことを読者が感じられるような、総論および各分野の事例報告をまとめました。

 読者諸氏の建築業の情報化に関しての論点整理に役立てば幸いです。

(北垣亮馬)

会誌編集委員会特集担当
北垣亮馬(東京大学)、小林光(東北大学)、髙橋典之(東北大学)、谷川竜一(金沢大学)、樋山恭助(明治大学)、宮田征門(国土交通省国土技術政策総合研究所)

[目次]

特集=建築系ビッグデータの実装・運用における課題整理

004会誌編集委員
主旨
005加藤信介×笹原英司×廣井悠
座談会 他領域におけるビッグデータ活用の現在
010佐藤一郎
総論① ビッグデータとは何か─歴史、効用、応用、課題
012井上陽治
総論② ビッグデータ時代のデータマネージメントを2100年の予測から見てみる
014田才晃
構造① RC部材実験データベースの開発
016倉田成人
構造② 構造ヘルスモニタリングのためのビッグデータの活用と課題
018本谷淳
施工① BIMを活用した情報化施工
020西島茂行+山本秀之
施工② スマートセンサ型枠システムによる情報化・高速施工
022馬場健誠
計画① シビックテクノロジーとまちづくりビッグデータの蓄積
024中野谷昌司
計画② マンション維持・修繕履歴管理の課題と活用
026古森崇史
行動分析① 店舗空間におけるビッグデータ分析の実例と他業界における展望
028藤井真人
行動分析② 不動産市場における新しいデータ活用の潮流
030葛隆生
環境① 設備コミッショニングへのデータ活用の課題と将来展望
032伊藤耕介
環境② データ同化─観測データをシミュレーションの世界に融合させる
034三村豊
歴史① メガシティ・ジャカルタとビッグデータ─分散的共創としての巨大都市空間・史的分析を目指して
036山田太造
歴史② トピックモデルを用いた日本史史料テキストの分析手法
038大島一夫
都市 欧州のスマートシティとビッグデータ

連載

My History⑪
表紙裏 藤森照信
 本だけが......

近現代建築資料の世界 ⑪
002松本徳彦
渡辺義雄資料より伊勢神宮

未来にココがあってほしいから 名建築を支える名オーナーたち ⑪
040岡野雅章+野原聡
目黒区総合庁舎(旧千代田生命保険相互会社の本社ビル)

これからの公共的建築のつくり方 ⑩
041清水義次
公民連携はまちの持続につながりますか?

震災復興の転換点 ⑪
042宮定章
阪神・淡路大震災、東日本大震災の生活再建と復興事業に接して感じたこと

ポストオリンピックにおけるスタジアムのデザインと利用形態の変化に関する調査報告 ①
044徐佳凝
北南米のオリンピック・スタジアム

研究室探訪
046志手一哉
㉑芝浦工業大学建築生産マネジメント研究室 生産性改善を目指して
046中野茂夫
㉒島根大学都市計画史研究室 歴史的視角からの都市計画

編集後記
047会誌編集委員