表紙アートワーク SPREAD
表紙写真 神宮巨樹
2022-6月号 JUNE
特集06 建築と民主主義とのつきあいかた
建築は民主主義とどうつきあうのか。ことの発端はザハ・ハディドの国立競技場問題である。2012年に国際コンペが行われ、ザハ・ハディドの案が決定したが、その後にそれが取り消され異なる建築家の案が採用された。詳細は多く語られているので繰り返さないし、すでに完成した競技場に対して批判を展開するつもりはない。しかし、それがあぶりだした問題群に対して、建築学はきちんと応えられていないのではないか。それは、戦後に75年かけて、これだけの民主的な社会をつくりあげてきたのに、あれだけの公共的な建物に対して、なぜ私たちはいびつな意思決定しかできなかったのか、そして建築の専門家はなぜその意思決定に寄与してしまったのか、という問題である。
私たちはこれからもより良い方向に民主主義を発達させていかないといけない。しかし革命が起こることはないので、その民主主義は現在の民主主義と地続きであるはずだ。民主主義の現在地はどのように描き出されるのか、そこで建築の専門家はどのような役割を果たすことができるのか、本特集で明らかにしていきたい。
[目次] |
000 | 連載 インスピレーションの起源 第6回 日建設計・梓設計・日本設計・アラップ設計共同体 |
002 | 特集 建築と民主主義との |
004 | 鼎談1 新国立競技場問題が提起したもの 五十嵐太郎・倉方俊輔・島原万丈 |
010 | 鼎談2 民主主義の現在地 牧原出・倉方俊輔・島原万丈 |
016 | 論考1 建築とサイエンスコミュニケーション 藤井俊二 |
018 | 論考2 コミュニケーションの専門教育 平田京子 |
020 | 論考3 都市計画・建築における市民参加の歴史 杉崎和久 |
024 | 論考4 公共空間のせめぎあいの最前線 泉英明 |
026 | 鼎談3 世界では建築は民主主義と どのようにつきあっているのか? 勝目雅裕・木村浩之・吉良森子 |
032 | 記事1 民主主義の工夫と改善 饗庭伸 |
034 | 記事2 建築のプレイスメイキング 髙岡伸一 |
035 | 記事3 日本のミニ・パブリックスの今日 竹内彩乃 |
036 | 記事4 シビックテックの可能性-わたしから始める、まちづくり 東健二郎 |
037 | 記事5 日本建築学会の対外的意見表明 -社会に対する「意見書」から、社会とともにある「提言」へ 福田卓司 |
038 | 記事6 幸せな建築(徳島文化芸術ホールの挑戦) 山口義敬 |
039 | 記事7 小さく、一つずつルールを生成していくには 水野祐 |
040 | 建築×政治 市議会議員はまちのタウンマネージャー 近藤みほ |
044 | 木造仮設住宅の利活用 井上智大・上野美恵子・内田壮一郎・田尻昭久 |
048 | 表紙および誌面のデザインについて 岩佐明彦 |