表紙アートワーク SPREAD
表紙写真 神宮巨樹

2023-6月号 JUNE

特集= 06 建築の団塊ジュニア


06 Second-wave Baby Boomers of Architecture

 

特集06 建築の団塊ジュニア

日本の都市や建築は、二度のベビーブームと、起こらなかった三度目のベビーブームが作り出す人口の大きな波に翻弄されてきた。人口は空間の需要に直結するため、都市や建築の専門家はそれに対応するために、大急ぎでビルディングタイプを発明したり、生産体制を整えたりしてきた。
第一次ベビーブーム世代は「団塊の世代」と名付けられ、これまでも議論の対象となってきた。大きな波となって都市と建築のフロンティアを開拓し続けてきた世代であるが、ついに後期高齢者に差し掛かり、現場からの退場が始まっている。そしてこの特集では、これまで比較的語られることが少なかった、第二次ベビーブーム世代、いわゆる団塊ジュニア世代を取り上げることにしたい。1970年生まれを筆頭とするこの世代は、そのボリュームの大きさからも、都市や建築を変える可能性がある最後の大きな波であるといえる。この世代がこれまでどのような経験を重ね、どのような組織や制度をつくり、どのような都市や建築をつくり出してきたのか、そしてこれからどのような組織、制度、都市や建築をつくりだしていくのか、本特集で考えていきたい。

[目次]

000連載
インスピレーションの起源 第18回
藤村龍至
002会長就任の挨拶
うつくしくタフな建築・まちづくりを目指して
竹内徹

004

特集 建築の団塊ジュニア
Second-wave Baby Boomers of Architecture

006インタビュー
団塊ジュニアはどう語られてきたか、
何をつくり出してきたか?
中澤高志
012論考1
建築学会会員データから見る建築の団塊ジュニア
論考2
アンケート調査から見る建築の団塊ジュニア
饗庭伸
018座談会
建築の団塊ジュニアのプロファイリング
藤村龍至・松村淳・饗庭伸・鍵直樹・岩佐明彦

団塊ジュニア建築・都市10選
026暮らし/戸建住宅地
『東京の住宅地』から読み解く戸建て住宅地
後藤智香子
028暮らし/タワーマンション
タワマンは団塊ジュニア勝ち組の住宅か?
村島正彦
030暮らし/居住貧困
住宅からの排除:「失われた世代」の不安定な就労と居住
川田菜穂子
032暮らし/地方都市
若年化する住宅所有:
市街化調整区域の規制緩和が生んだ住宅群
小山雄資
034暮らし/団地
「団地」という建築の捉えかた
照井啓太
036暮らし/実家
団塊の世代が新築した家を、
ジュニアが改修し、 親世代の寛容さを追体験する
藤野高志
038暮らし/公共施設
団塊ジュニアを育てた公共施設
倉斗綾子
040遊びや余暇/盛り場
カラオケボックス:盛り場のゲートウェイ
中島直人
042遊びや余暇/観光
「脱・現実」の余暇空間:海外から郊外へ
西川亮
044仕事
さらば、「ありふれた風景」:あるいは生殖しない空間の出現
鈴木貴宇

046論考3
世代でくくるな
饗庭伸

web連携 建築討論Annex
048後期近代と変容する建築家像
松村淳