表紙アートワーク 渡邉翔
2024-8月号 AUGUST
特集08 REgionalism in 福岡
コロナ禍におけるコミュニケーションのデジタル化は、一極集中する都市像への反省を促し、離散する「地方=Region」に都市像の可能性を見ようとする。
こうした「地方都市」を考える場合、共時的なテーマを通して建築・都市の一般解について考えることだけでなく、ひとまとまりの具体的な場所の特殊解について考える必要があるのではないだろうか。
「地方」という言葉は、「都市」に対する物理的環境としての「田園」、「中央」に対する制度的環境としての「周縁」という二重の意味を持つ。
本特集では、固有の大都市圏を持つ福岡・名古屋・仙台を中心に、「失われた30 年」に醸成された各都市圏における「地方」の持つ二重性について考える契機としたい。
都市や建築が持続的に発展するためには、既存の物理的環境と文化的環境について、「再=RE」を付けて考える必要がある。
具体的な場所に対して、再読、再編、再考、再生、再興、再建などの「再=RE」を付けて考えられた内容は、その場所の背景に応じて多様で固有の手法を持つ。本特集では、モダニズムのドグマとなった「働く場所」「住む場所」「憩う場所」「移動する場所」「歴史的資産」について再考することで、「地方」に固有の場所のあり方を考えたい。
今期『建築雑誌』編集委員会では、以上の趣旨に基づいて "RE gionalism" を冠する3冊の特集号を準備しており、福岡を中心とする今月号はその第1弾である。
[目次] |
0 | 巻頭連載 建築アーカイブの現在 ⑧ 京都大学研究資源アーカイブ |
2 | 特集 REgionalism in 福岡 |
4 | 座談会 福岡という〈地方〉を再編する 木藤亮太、黒瀬武史、田上健一、松岡恭子 |
10 | インタビュー 「世界⊃福岡」の都市・建築論のあり方 土居義岳 |
14 | 論考1 〈働く〉場所の再考 福岡はなぜコンパクトなのか 黒瀬武史 |
16 | 論考2 〈働く〉場所の再考 福岡・博多のド真ん中で「場」を構え、 「場」を拓き、何ができるのか? 松口龍 |
18 | 論考3 〈住む〉場所の再考 Survival of a Water Town Barrie Shelton |
20 | 論考4 〈住む〉場所の再考 BeCAT で目指す持続可能な建築と地域社会のモデル 末廣香織 |
22 | 論考5 〈憩う〉場所の再考 那珂川―古えから未来への連鎖 高取千佳 |
24 | 論考6 〈憩う〉場所の再考 韓国人から見た日本の地方都市、福岡 宋俊煥 |
25 | 論考7 〈移動する〉場所の再考 福岡の近代、拡がる市街地 箕浦永子 |
26 | 論考8 〈移動する〉場所の再考 「2006年福岡五輪招致計画」の21世紀 渡邊大志 |
28 | 論考9 〈移動する〉場所の再考 都市を望む島で育む客観性 水谷元 |
29 | 論考10 〈歴史的資源〉場所の再考 官営八幡製鐵所製鉱滓煉瓦とその歴史 市原猛志 |
30 | 論考11 〈歴史的資源〉場所の再考 葉祥栄と福岡の近現代建築50年 岩元真明 |
32 | 六番池団地/会神原団地/三反田団地 川尻大介、岸佑、朴光賢、平瀬有人、堀田典裕 |
34 | 現在形としての日本建築 佐藤光彦 |